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【業界激震】「オプジーボ」50%引き下げ決定 [薬]

 がん治療薬「オプジーボ」の価格(薬価)を50%引き下げることが、決まった。厚生労働省では先日、薬価を25%引き下げることを決めていたが、それでは生ぬるいということで、更なる引下げが実施されることとなったのである。

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 iPS細胞研究が認められ、京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したのは2012年。それ以来、山中教授のiPS細胞研究への助成費が大幅に伸びたほか、再生医療そのものにも注目が集まり、法律改正にもつながった。今では日本は、世界で最も再生医療製品の承認を取得しやすい国となっている。
 なぜ、こんなことを振り返っているかというと、「オプジーボ」である。がん治療薬「オプジーボ」の薬価が「高すぎる」という問題が過熱し、とうとう50%引き下げることが決まった。
 今年のノーベル生理学・医学賞の有力候補の一人として、本庶佑・京都大客員教授が挙げられていた。本庶氏が研究していたPD-1抗体を用いたがん免疫療法が結実したのが「オプジーボ」である。もし、本庶氏がノーベル賞を受賞していたなら、iPS細胞に並ぶ研究成果について「価格を下げろ」という圧力がここまで強かったどうか、疑問である。
 国の財政を圧迫している医療費の伸びを抑制する必要性はわかる。それを医療用医薬品の価格(薬価)の引下げ、とくに「オプジーボ」などの高額薬剤の価格を大幅に引き下げることで対応しようというのは、いかがなものかと思う。一方で政府は、国の経済をけん引する役目として医薬品産業に期待をかけているのだ。
 今、医薬品産業は国の経済をけん引するどころか、生き残りに必死である。薬価の安いジェネリック医薬品の推進策により、日本の製薬メーカーは、新薬の開発に資源を集中する戦略を取っている。資源を集中して、従来の医療では成しえなかった成果が期待できる新薬を開発したとしても、「薬価が高いから」といって半額程度で販売せよとなったら、医薬品産業は国の経済をけん引する役目を果たせるだろうか。
 そして、この薬価の問題は、法律を改正してまで政府が期待する「再生医療」にも悪い影響を与えることは間違いない。再生医療製品も「オプジーボ」並み、もしくはそれ以上の高額な製品になる可能性が高いからだ。
 政府が推進するジェネリック医薬品においても、現在は厳しい状況だ。国内最大手の沢井製薬、日医工、東和薬品の第2四半期決算を見ると、いずれも減益。通期業績予想も下方修正している。薬価の引下げ政策はジェネリック医薬品も例外ではなく、追い風が吹いているはずのジェネリック医薬品業界にさえ悪影響を及ぼし始めている。今や薬価の引下げ政策は、医薬品産業を後退させる域にまで踏み込んでしまっているのだ。
 「オプジーボ」の場合、確かに希少疾患である「メラノーマ」の治療薬として売り出すことで高めの薬価を獲得したとか、海外価格はもっと安いとか、反省すべき点はあるだろう。だが、日本が世界に誇る研究開発の成果である「オプジーボ」を叩くことは、日本の医薬品産業の成長を邪魔することでもあるのだ。
 社会保障費の抑制は、革新的な治療薬の価格を下げなくても、方法はある。例えば、医療費コストの半分近くを占める医師の人件費に視点を移すこともその一つだ。3割となっている医療費の自己負担についても検討の余地はあるだろう。今、研究開発が進んでいる治療薬の中には、従来の医療では成しえなかった成果が期待できる薬がいくつもある。その芽が摘まれるようなことはあってはならない。

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