【これで注射はもう痛くない】佐藤製薬「エムラパッチ」発売

　佐藤製薬から外用局所麻酔剤「エムラパッチ」（医療用医薬品）が12月13日に発売された。この薬を注射前に貼ることで、注射の痛みが軽減できるという薬なのだ。

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「痛いのはがまん」は「時代遅れ」
　注射が好きという子どもはまずいないだろう。痛いし、怖いしで、注射は大嫌いで、病院に行くのも嫌だという子どもが大半ではないだろうか。しかし「注射しても痛くなかったら」どうだろうか。病院嫌いにもならないかもしれない。
　佐藤製薬から発売された「エムラパッチ」は、注射時の痛みを軽減してくれる薬だ。もともと「エムラクリーム」という薬があったのだが、あまり使いやすい薬ではなかったので、「貼るだけ」の薬として開発されたのが「エムラパッチ」なのだ。
　「注射は痛いものだからがまんしなさい」というのは、実は日本だけ。海外では、注射前に「マジッククリーム」という薬を塗って、痛みを和らげることが当たり前に行われている。海外では、例え注射であっても、「子どもに痛みを強いる」のは「時代遅れ」なのだ。
　「痛み」というのは、蓄積し、さらに「過敏」になることがわかっている。つまり、痛みを我慢していると、かえって痛みに対して敏感になってしまうということだ。痛みは、乳幼児どころか新生児から蓄積し、それが成人になってから慢性痛などを引き起こす。痛いことはできるだけ避けた方がよく、それは「予防接種」であってもそうで、むしろ避けなかったために「病院嫌い」になったり、「針などの先端恐怖症」を招いたりと、長期化するリスクがある。
　カナダ内科学会では「小児期の予防接種の苦痛を軽減するためのガイドライン」を公表しており、その中で最も推奨しているものの一つが、「エムラパッチ」のような局所麻酔剤を使用することだ。ただし難点もいくつかある。「エムラパッチ」は医療用医薬品なので、医師の処方箋がないと購入することができないことと、注射前に60分間貼り付けなければならないことだ。定期接種などで、接種の予定が決まっている場合は、前もって医師に処方してもらい、家で貼ってから病院に行くのがいいだろう。

痛みを減らす「3P」
　カナダのガイドラインでは、「痛みを減らす」ための方法「3P」を提案している。「3P」とは「pharmacologic（薬学的）」「physical（物理的）」「psychological（心理的）」なアプローチのことだ。薬学的というのは、局所麻酔剤などの薬を使うことだ。ただし、痛み止めというと「イブプロフェン」や「アセトアミノフェン」などを思い浮かべる人がいるだろうが、鎮痛剤を飲んでも、注射の痛みは緩和されないことがわかっている。むしろ、ワクチンによる免疫取得に影響する可能性があるので「飲まないこと」が推奨されている。なお、注射後数値にしても痛みが治まらない場合は、「イブプロフェン」などを服用してもいいぞ。
　物理的とは、注射部位の近くを「なでてあげる」ことだ。筋肉が硬いの痛みを感じやすいし、何より子供に安心感を与えることができる。かといって、注射部位をゴシゴシこすってしまうと逆効果。ガイドラインでは「注射部位」と「注射部位近く」は違うと注意喚起しているぞ。
　心理的なアプローチとは「注射から気をそらせること」だ。この「気のそらせ方」として推奨しているのが、乳幼児の場合は「授乳」で、授乳できない場合は「スクロース溶液（砂糖水）」を与えること。この砂糖水の効果は、最大で10分続くとのこと。他には「親との会話」「絵本を見せる」「おもちゃで遊ぶ」などがあり、「深呼吸」も子供から大人まで効果があるとのこと。注射時に「しりとり」などを始めて気をそらすことをしている病院もあるそうだ。

NGなのは
　逆にＮＧなのは「注射部位を冷やすこと」だ。一見痛みを除く効果がありそうだが、逆効果とのこと。冷たいために、かえって子供が注射部位に意識を集中してしまい、子どもは「冷たさ」と「痛さ」を両方味わうことになるぞ。あと、寝た姿勢で注射を打つと、座った姿勢よりも痛みを感じやすいのだとか。また、注射の前に「痛いけど我慢してね」といった不安をあおるような声かけはやめること。「すぐ終わるからね」「〇〇ちゃんなら大丈夫」といった安心させる言葉も逆効果だという。
　そして、大事なことは「注射をしに行く」ということを事前に説明しておくこと。何も言わず、いきなり病院に連れてこられたのでは、子どもも心の準備ができていない。ちゃんと説明したうえで、痛みを減らすための方法が「3P」なのだ。これから予防接種を受けに行くという人は、ぜひ試してみて。
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タグ：痛み 注射 エムラパッチ 佐藤製薬