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【歯周病の治療に再生治療薬登場】科研製薬「リグロス」 [薬]

 昨年12月、歯周組織再生医薬品「リグロス歯科用液キット」(医療用医薬品)が発売されたのをご存じだろうか。歯周病で壊された歯肉(歯ぐき)や歯槽骨などの歯周組織を再生してくれる世界初の薬で、この春から一般歯科でも使用が拡大される見通しとなっている。
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日本人の約7割が歯周病
 「リグロス」は重度の歯周炎に対して行われる外科治療(手術)のとき使用される。なので、まず歯周病についておさらいすると、歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」に大きく分けられる。
歯肉が炎症したものが歯肉炎、炎症が骨にまで及んだものが歯周炎で、歯肉炎から歯周炎に進行していくことがほとんどだ。歯ブラシのテレビCMでお馴染みとなった歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目にある溝)の深さが、歯周病の重症度の目安になっていて、4mm以上になると中等度以上の歯周病になる。ちなみに、日本人の約7割に歯周病の症状があると言われている。歯周病の主なリスク要因は歯みがき不足と喫煙で、歯周病の罹患率は女性に比べて男性のほうが2倍ほど高い。
 中等度から重度の歯周炎に対しては、フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)を行う。フラップ手術とは、歯肉を切開して、歯根(歯の根っこ)表面に付着した汚れなどを取り除く手術。汚れを取ることによって、歯周炎の進行を止めることができるのだ。しかし、進行を止めるられても、細菌によって溶かされた骨はそのままとなる。そこで出番となるのが「リグロス」だ。歯根面や歯槽骨(歯を支える骨)の欠けた部分に「リグロス」を塗るだけで、歯周組織が再生されるのだ。
 実は「リグロス」の他にも、以前から歯周組織を再生させる方法は行われている。それは「エムドゲイン」を使用する治療法だ。「リグロス」と同じように歯根面等に塗るのだが、「リグロス」は薬で、「エムドゲイン」は管理医療機器なのが違いとなる。そして最大の違いは、「リグロス」は医療保険が使える(つまり治療代は3分の1となる)が、「エムドゲイン」は自由診療で医療保険が使えず、治療費は全額負担となるところだ。一部の大学病院などでは「先進医療」として「エムドゲイン」の治療を行っているが、エムドゲイン代などは自己負担となる。厚生労働省資料を基に治療費(自己負担分)を試算してみると、歯1本の治療で、自由診療の場合は8~9万円、先進医療だと約5万7000円。「リグロス」の場合は薬代込で2万円程度といったところか。

一般の歯科医でも使用可に
 この「リグロス」は、製薬メーカーの科研製薬より昨年12月に発売されたのだが、大学病院などの一部の歯科のみでの治療に限られていた。それは「エムドゲイン」が先進医療となっているように、高度な医療技術が必要とされているからだ。しかし、この春以降は、大学病院だけでなく、フラップ手術の経験のある歯科医なら「リグロス」が使用できるようになる見通しだ。近いうちに、近所の歯医者さんでも治療を受けられるかもしれないぞ。骨や歯肉が健康だったころまで再生されるというものではないが、わずかでも再生できるというのは、患者にとって心強いかぎりだろう。
 なお、歯周組織を再生すると聞くと、下がった歯ぐきが元に戻るのではと思われるかもしれない。年齢と共に全体の歯ぐきが下がっていくが、残念ながら「リグロス」や「エムドゲイン」では再生できない。このように歯ぐきや骨が水平的に減っていくのを「水平性骨欠損」という。「リグロス」などが使えるのは「垂直性骨欠損」といって、歯ぐきや骨が歯根方向(垂直)に減っていくケースのみなのだ。「水平性骨欠損」を再生するには、今研究が急ピッチで進められているiPS細胞などを用いた再生医療を待つしかないだろう。
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