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【おたふく風邪で難聴に】2回の予防接種を推奨 [病気]

 子どもの頃にかかる感染症の一つに「おたふく風邪」がある。おたふく風邪は流行性耳下腺炎、ムンプスとも呼ばれる、ムンプスウイルスによる感染症だ。感染しても命の危険は少ない菅選手だが、まれに難聴を合併する。日本耳鼻咽喉科学会は、このムンプス難聴の大規模全国調査を実施し、2015年~2016年の2年間の間に、少なくとも336人がムンプス難聴になっていたと報告した。

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ある日突然「耳が聞こえない」
 おたふく風邪にかかると、精巣炎を合併する可能性があるという話は聞いたことがある人も多いだろう。しかし、難聴になるかもしれないという話は、あまり聞いたことがないのではないだろうか。難聴を生じるウイルスにはムンプス以外にも風しんなどがあるが、このウイルス性難聴は治りにくく、後遺症として残ることが多いのだ。
 日本耳鼻咽喉科学会の調査では、ムンプス難聴になった336人のうち314人に対して2次調査を行っているが、実に83%の261人が高度以上の難聴が後遺症として残っている。
 ムンプス難聴は5~9歳の子どもに発症することが多く、その多くは片耳の難聴(一側難聴)だ。片方の耳は正常に聞こえるものの、学校などで少しでも騒々しい状況になると、人の声も聞き取れにくくなる。一側難聴の子どもは「言い間違いが多い」「学校の授業についていけなくなる」ことが多いという報告もあるのだ。そして、高度以上の両側(両耳)難聴になると「ほとんど聞こえない」という。ある日突然耳が聞こえなくなり、人工内耳や補聴器が必要になってくる。日本耳鼻咽喉科学会の調査では、314人のうち14人が両側難聴で、11人が高度以上の難聴が後遺症として残ることとなったと報告している。
 おたふく風邪に罹り、ムンプス難聴を発症するのは子どもだけではない。今回の調査では、子どもからおたふく風邪をうつされた子育て世代(20代~40代)でも、ムンプス難聴を発症していることが確認されている。

母親間でささやかれる「間違った噂」
 おたふく風邪にはムンプスワクチンというワクチンがあり、予防接種で予防することができる。ただし、定期接種ではなく任意接種なので予防接種を受ける人は少なく、接種率は30~40%にとどまっている。日本耳鼻咽喉科学会は、ご両親がお子さんにムンプスワクチンを接種させない理由の一つに「間違った噂」が母親間でささやかれていると指摘している。
 その噂とは「予防接種を受けるより、普通に罹ったほうが免疫はつきやすい」「15歳過ぎてから罹ると合併症を起こしやすいので、早いうちに罹ったほうがいい」といったもの。こんな噂をうのみにし、わざわざ自分の子どもを、おたふく風邪にかかった子どもに「ハグ」させる母親もいるのだとか。まさに「無知は罪」である。
 また、「予防接種が任意なのは、国が推奨していないから」という噂もある。ムンプスワクチンは、昔は定期接種として打たれていたのだが、ワクチンにより無菌性髄膜炎を発症した子どもが増加したことから、定期接種から外されている。だからと言って、ムンプスワクチンは打たなくてもいいというものではないのだ。
 おたふく風邪には治療法がない。また、症状が現れない不顕性感染が多いので、感染した人を隔離しても流行を阻止することはできない。予防接種が唯一の効果的な方法なのだ。世界保健機関(WHO)は2回の予防接種を推奨しており、日本以外の先進国は定期接種を行っている。実は、おたふく風邪が流行しているのは、先進国の中では日本だけなのである。日本耳鼻咽喉科学会は今回の調査結果を受け、日本でもムンプスワクチンが定期接種で打てるよう政府に要望する考えを示している。

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