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【エコノミークラス症候群に飲み薬登場】VTEを早期に治療 [薬]

 昨年12月、抗凝固薬「エリキュース」が静脈血栓塞栓症(VTE)の適応を取得した。VTEというのは、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を合わせた病名で、このうち深部静脈血栓症は、いわゆるエコノミークラス症候群と言われているものだ。新しい薬の登場で、VTEの治療が手軽にできるようになっている。

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 深部静脈とは、脚にある静脈のこと。脚には皮膚の下を走る表在静脈と筋肉の中を走る深部静脈がある。深部静脈は血液を心臓に送るという重要な役割を担っていて、脚から心臓へ向かう血液の90%以上は深部静脈によって運ばれる。深部静脈の周囲にある筋肉の収縮によって血液を心臓に運んでいるのだ。とくにふくらはぎの筋肉が重要なわけだが、長い間足を動かしていないと筋肉が収縮せず、血液が足に滞ってしまう。そうして血の固まり(血栓)ができるのが深部静脈血栓症だ。この深部静脈血栓症が怖いのは、深部静脈にできた血栓が血流に乗って、肺動脈で詰まるためだ。血栓のサイズが大きい場合は、即死することもある。
 2002年の日韓ワールドカップのとき、高原直泰選手が発症して日本代表を落選したことでエコノミークラス症候群という病名は有名になったが、VTEというのは聞いたことがない人がほとんどだろう。実際、知名度が低いために診断や治療が遅れることが多く、診断や治療が遅れると死亡率は高くなる。VTEは無症状なことが多いのだが、ふくらはぎや足首、太ももが腫れて痛みがあったり、体液がたまってむくんだり、赤褐色に色素沈着したりすることがあるので、このような症状が見られたらとりあえず病院に行って検査してもらったほうがいいだろう。また、VTEにかかりやすい人というのがある。長距離旅行で飛行機に長時間乗っている人、入院などで長時間ベッドに寝ている人のほか、高齢者、肥満、経口避妊薬(ピル)を使用、妊娠中または出産直後、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症等)の人は要注意。また、カテーテル検査や手術の後も注意が必要だ。
 VTEの治療は、抗凝固療法が行われる。血液が固まるのを防ぐ治療だが、薬として抗凝固薬が使用される。これまでは、ワルファリンなどの薬を注射して、体の状態をモニタリングしていたので入院が必要だった。頭蓋内出血や再発のリスクもあった。しかし、新しい薬として新規経口抗凝固薬が登場したことで、治療はかなり簡便になりつつある。新規経口抗凝固薬はNOAC(ノアック)と称されていて、現在VTEに使用できるNOACは3剤ある。NOACは内服薬で、モニタリングの必要がなく、出血のリスクも低いということで、外来での治療も可能となっているのだ。また、軽症の人も薬が使えるので、早期に治療することで治すことが可能だ。早めに診断してもらおう。また、VTEの予防としては、長時間同じ姿勢を取らないで適度に足を動かすこと、そして水分を十分に取ること、また弾性ストッキングを着用するのも効果的だ。ただし、正しく着用しないと血流を遮断してしまい、かえって足の調子を悪くする。すでに血栓症で痛みのある人はもちろん、ストッキング着用でしびれや痛みがある人は着用しないようにしよう。

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