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【6月10日は】世界ATTR啓発デー [病気]

 毎年6月10日は「世界ATTR啓発デー」。ATTRというのは、正確にはATTR-FAPで「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」という疾患のこと。遺伝性の難治性神経疾患の一つで、国内において約400名がATTR-FAPと診断されている。しかし、発症後もATTR-FAPだと診断されていない患者が潜在している可能性が指摘されているのだ。

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アミロイド病の一つ
 アミロイドというタンパク質が各臓器に沈着することで発症する病気のことをアミロイド病(アミロイドーシス)と呼んでいる。脳に沈着して発症するアルツハイマー病(認知症)が有名だが、他にもパーキンソン病、プリオン病(狂牛病やクロイツフェルトヤコブ病)などがある。家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)もその一つだ。「家族性」とは遺伝性という意味で、「ポリニューロパチー」とは多発性(ポリ)神経(ニューロ)障害(パチー)のことだ。
 FAPのうち、トランスサイレチン(TTR)というタンパク質が遺伝子変異を起こすことが原因なのがATTR-FAP、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」だ。遺伝子変異を起こしたトランスサイレチンのことを「異型TTR(ATTR)」と呼ぶが、異型TTRの多くは肝臓で産生されることから、ATTR-FAPの有効な治療法の一つが肝移植となっている。ただし、TTR遺伝子に変異を持ちながら、生涯FAPを発症しないという例も報告されている。

未治療だと10年で死亡
 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状は、障害を受けている神経の場所によって異なる。例えば、感覚神経に障害があると「しびれ」や「痛み」などが、運動神経に障害があると「筋力の低下」や「筋萎縮」などが、自律神経に障害があると便秘や下痢、尿失禁、勃起不全などの症状が認められる。これらが「多発的」に起こることになる。これらの症状は自律神経、感覚神経、運動神経の順で出現し、筋萎縮、筋力低下などの運動神経障害は感覚障害より2~3年遅れて出現することが多いとされている。そして、有効な治療を行わなければ、発症から平均10年で死亡に至るという重篤な病気なのだ。なお、ATTR-FAPの進行を抑制治療薬として「ビンダケルカプセル」(ファイザー)という薬がある。
 ATTR-FAPの患者層は地域性があるといわれていて、世界的にはポルトガル、スウェーデン、そして日本で患者が多いと言われている。国内でも熊本県、長野県、石川県に患者が多いとされていて、国内では約400名がATTR-FAPと診断されている。しかし、ATTR-FAP特有の症状というものがなく、全身に多彩な症状が現れることから診断が難しく、症状発症後もATTR-FAPと診断されていない患者が潜在している可能性が指摘されているのだ。
 そこで一人でも多くの医師や国民にATTR-FAPのことを知ってもらい、早期診断に結び付けようというのが「世界ATTR啓発デー」なのだ。世界中でATTR‐FAPの認知度向上の取り組みが行われる。ちなみに「世界ATTR啓発デー」の6月10日は、ATTR-FAPの治療に大きな功績を遺したポルトガルの医師、コリノ・アンドラーデ教授の誕生日とのこと。
・ATTR Awareness Day 2017

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