インフルエンザの患者数が、統計を取り始めた平成11年以降最多となり、話題となっている。従来なら2月以降に流行するB型インフルエンザが前倒しで流行していることが、大きな流行の原因とのことだ。そんななか、カナダの臨床評価科学研究所の研究者らは、インフルエンザによって心筋梗塞のリスクが6倍になるとの研究結果を報告している。
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この研究は『New England Journal of Medicine』に発表されたもの。2009~2014年にインフルエンザへの感染が確認された約2万例の成人症例を解析したところ、インフルエンザと診されてから1週間以内に、急性心筋梗塞(AMI)によって入院するリスクが、インフルエンザに感染していない人より6倍高いことが示されたのだ。しかもインフルエンザA型とB型でリスクは異なり、A型のリスクが5倍であるのに対し、B型は10倍リスクが高いこと示されている。ちなみに、インフルエンザに感染してから1週間を超えると、急性心筋梗塞リスクは減少するとのこと。
実は、インフルエンザに感染すると急性心筋梗塞のリスクが高まるというのは、1930年代から提唱されている。インフルエンザウイルスにより頻脈や血栓形成が促進され、急性心筋梗塞に至るとの可能性が指摘されているのだ。そのため、急性心筋梗塞を予防するためにも、インフルエンザの予防接種を受けることが推奨されている。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究者らによる解析によれば、インフルエンザワクチンを接種することで、急性心筋梗塞のリスクを約30%低下させることができると報告している。
インフルエンザに感染すると、高熱や肺炎などを心配することが多いが、急性心筋梗塞についてはノーマークという人も多いのでは。熱が下がったからといっても安心せず、感染後1週間は様子を見ることが必要だ。
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