おとくすりニュース第一回目は、プラセボに関するニュースをお届けしよう。
 「病は気から」とよく言うが、病気から回復するのも「気から」という部分が大きいようである。有効成分を含まない薬のことを「プラセボ」というが、このプラセボを薬と思い込んで飲むと病気が治ってしまうことがある。これがプラセボ効果だが、このプラセボ効果は案外大きいそうだ。例えば、プラセボを与えて症状が改善したうつ病患者の脳をPET検査で画像診断したところ、帯状回や前頭前野といったうつ病に関係すると言われている部分が実際によくなっていたことが確認されたそうである。一方、これまで使っていた薬をジェネリック医薬品に切り替えたところ、それまで得られていた効果が弱まったという話がよくある。これは、ジェネリック医薬品に切り替えたことによるマイナスのプラセボ効果が働いたということが考えられる。
 プラセボがプラスに働く要素としては①医師との良好なコミュニケーション②薬の効果を期待する③積極的に治療を行う自主性――が挙げられるそうだ。先ほどのジェネリック医薬品の場合は、安い薬に変えたことが心理的にマイナスに働き、「②薬の効果を期待する」が弱まったためと考えられるだろう。つまり、薬は「こんなの効くかなあ」と渋々飲むより、「これでよくなるでしょ」とポジティブに飲むほうが効きもよいということだ。プラセボによる上乗せ効果がどのくらいかは病気にもよるが、試して損はなさそうである。