皆さんは、大腸内視鏡検査をしたことがおありだろうか。筆者は一昨年に体験した。内視鏡検査は、2リットルほどの下剤を複数回に分けて飲み、腸内を空っぽにしてから行う。腸を空にするところまでは順調に行ったが、肛門から内視鏡を入れたところから地獄が始まった。内視鏡を入れる際は薬で腸の動きを止めるのだが、止まっていなかったらしく、激痛と吐き気に襲われ、最終的に麻酔を投与した。終わった後も立ち上がることができず、この日の検査に集まった患者の中で、腸を空にしたのは1番早かったが、帰宅についたのは1番最後だった。筆者が経験したのは、血管迷走神経反射という副作用だそうだ。
 NPO法人ブレイブサークル運営委員会が発表した大腸がんに関する全国意識調査によると、大腸がん検診(便潜血検査)を全く受けたことのない人は約30%いたという。そして、「もし大腸がん検診(便潜血検査)の結果が陽性(要精密検査)になったらどのように対応しますか?」という設問に対しては、「半年以内に精密検査(大腸内視鏡検査等)を受ける」と回答した人が約70%いた。一方、「特に検査を受けようと思わない」と回答した人は約11%いたとのことで、中には大腸内視鏡検査がいやだという人も多かったのではなかろうか。
 大腸がんは、女性のがん死亡原因の第1位となるなど、大腸がんにかかる人数が増えている。一方、大腸がん検診の受診率は約38%と低い状況だ。筆者は一昨年に大腸内視鏡検査をして、ポリープも取り、先生が「来年は大腸がん検診をしなくてもいい」と言ってくれたので、昨年は受けていない。しかし、今年は受けようと思う。結果、要精密検査となり、あの地獄が待っていようとも。早期発見・治療であれば95%以上が治癒するのだから。